pm 0:26

「たすけて」を言えないかわいいきみはただ 眠り続ける 眠り、続ける

ニンゲンも、シャカイも、ソトも怖がって、きみはひとりで暗闇のなか

よく笑い よく食べ 遊ぶ きみが好き だからお願い、帰っておいで 

虚ろな目 なんとかそこに映り込む 見えてる? せめて、まばたきをして

いまはただ、眠ることだけが生きること 死体と変わらぬ姿で生きる

膝かかえ 何かつぶやくきみを見て 抱きしめてみる 「死なせてほしい」

死ぬなんて言っちゃだめだよお願いだ きみの耳にはもう届かない

真夜中にふたりで散歩 ひさびさに星を見ようよ 秘密の場所で

ここでなら 泣いてもいいよ大丈夫 涙は別に出なくてもいい

星たちとぼくしかそばにいないから うつむかないで 大丈夫だよ

星明かり 照らされるきみ 色白で落ちる涙が宝石みたい

帰り道 手をつないだら 気をつけて 朝焼けに身を焼かれぬように

寝る前に何か飲もうか 泣いたから 水分補給は大事なんだよ

現実に押しつぶされたきみは言う 「わたしの残機、もう無いんだよ」 

生きるにはお金がかかる 稼ぐには社会で命を削るしかない

人生のボーナスタイムくれたきみなのにどうしていなくなったの

ぎりぎりの淵でなんとかやっていた つもりだったが落っこちていた

つかんだ手 ぷらり、ぷちりとちぎれてく ああ、まただめだ、さあ、朝が来た

今日もまた きみが世界にキスをした道路を歩き 社会へ向かう

pm 11:55

ぼくたちが生まれるほんの5年前 世界は自由を求め火の海

タピオカを黙ってすする二人には静かな秘密 ふた粒の愛

2分ほど遅れて列車が参ります 降り口は右、6番線です

新しいメガネを買った 薄いふち 折れそうなつる 分厚いレンズ

どうしてもゴミ箱に投げて入れたいの? おじさんそれで4回目だよ?

ここからはこの道かなり揺れるので どうか空いてる席に座って

カーテンを閉めない文化 根付いてる この街は今日も中が見えてる

この世にはたくさんの馬鹿がひそんでて 芽を出す時をずっと待ってる

そんなこと思ってなくても言うんです ぼくらはひとつ、ぼくらはひとつ

秘めごとを共有し合ったぼくたちは今日も静かに笑いあいます

am 10:22

粘膜を合わせて今日も僕たちは形なき愛確かめてます

目も合わず心も通わぬきみたちの心意気すら空々しくて

少しでもわかる部分はあったかな 背中合わせに心を探す

歪みないきみの心に触れたから ぼくの心は濁り始めた

「さよならだ、いつかどこかでまた会おう」わかれわかれの声、枯れるまで

「幸せになって」と勝手に言い残し 母はどこかで女になった

さあ皆さん、怖がらないで、よく聞いて。ここが世界の終着点です。

窓ガラス必死な顔して割っていく ガラスの向こうのわたしが笑う

砂時計 きみが落として粉々にしたからこの部屋は自由だね

さみしい、と言ったらきみは来てくれる? 桜の花びら浮かぶ水中

pm 11:08

しばらく更新してなかったよな……って思ったけど昨日してたらしい。記憶ないのこわい。

いつか見た夢の中では君たちとずっと仲良くいられたのにね

教室に生ぬるい風吹き込んで 夏のにおいと揺れるカーテン

制服に染みついた闇脱ぎ捨てて 春めいた風 過去にさよなら

僕ですか? いわゆる正義の味方? です 悪を倒しにやってきました

にんげんがたくさんいたので疲れたと 言えばあなたはあざ笑うでしょ

おひさまとせんたくものとおふとんに あなたのにおい残っています

教室の黄色いカーテン越しに見る 机に座った半袖のきみ

ふわふわの可愛い服を着るためにきみは生まれてきたんだろうね

赤と青、そんな風にはなれなくてぼくらは今日もあいまいな色 

現実じゃ 目があうことはないけれど 仮想世界で踊りましょうか

am 0:48

触れ合って一度離れて ぽってりと熱もつ体きみのせいだよ

横にいたあなたのにおい思い出す のぞく首筋 薄暗い部屋

2154年の人たちへ そちらのお天気いかがでしょうか

粉砂糖みたいな雪が降る夜に 消えてくいのち 月が見ていた

午後4時の路地裏 赤い夕焼けがお前の命の価値を定める

乱雑にティッシュハンカチつめたなら 負け越し必須の就活戦線

君たちがいなくなるならここにいる意味がひとつもなくなっちゃった

くちびるに額に指にキスをするきみの動きがいちいちずるい

強引に体を寄せて「好きだよ」と言えるかな? ほら、やってみせてよ

太陽をヨーヨーみたいに跳ねさせて 三時のおやつに月を食べます

pm 6:05

どうせまた、おまえも離れていくんだろ 「トモダチ」なんて嘘っぱちだろ

この気持ち気づいてるんだか知らないが こっちは毎日苦しんでるよ

「あと一年、早く出会えていたのなら」 「それは違うよ、別人だもの」

沼の中沈む体を思いつつ 同じ色した心を塞ぐ

もう二度と伝えられない思いには「これは夢だ」と言い聞かせてる

沈黙は肯定なの? と目で問うた 画面の向こうのきみはほほ笑む

名残惜しそうな顔してきみが泣く (大人になんてなりたくない)と

まっすぐに突き抜けていくきみの歌 そのままぼくを殺しておくれ

なにしても中途半端で反吐がでる しゃがみこんでも涙が出ない

飾られた白紙を指して友は言う「おまえの罪は誤魔化せないよ」

pm 6:03

平日の水族館は人が無く 魚は足を生やしています

心臓がばく、ばく、と鳴る 確かめる わたしあの人殺してないね?

いまきみがどこでなにしているかとか 全部知ってる 楽しそうだね

幼き日たなごころの皺刻みあい 誓ったあいつは裏切り者だ

雨の日に傘をささずに歩いてた 野良猫の気持ちわかる気がして

ファインダー越しにしかきみを知らなくて 目の前にいるきみは誰なの?

横切ったきみの香りがはんなりと 流し目すらも育ちがいいね

「すいもあまいも知ってるよ、お嬢さん」腕をつかんで下品に笑う

古ぼけた工事現場に住むねこは教えてくれる死ねる高さを

言いたいことがあったのにいまはもう誰も聞いてはくれなくなった