pm 6:00

キスをして震えるまつ毛美しくロマンチックは虚空の中に

真夜中の海でしずかにキスをする 夏空の中恋をしている

ジト目から刺さる言葉はスパイシー もう少しだけ香りを足して

きみの声ゆううつの青やわらかく それをまとって生きていくぼく

細い肩飛び跳ねるような時期が来た ずっと待ってた今年の夏だ!

来年も一年かけて待ってるね ときめきのあと 夏の死骸よ

じゃああたし きっと頭が悪いんだ (だってこの恋あきらめれない!)

ら抜きでも恋はできるの? ……そうなんだ。相手もら抜きでしゃべる人なの?

少しずつきみの言葉が遠ざかる さよなら青春 またきてここに

どうしても死にたいのなら最後にさ、人体実験させてくれない?

pm 5:57

役立たぬ歌を詠むのはなんのため わたしのこころ かたちどるため

ことばとはくんずほぐれつやってきた 一度でいいから勝たせてほしい

背徳とモラルが今日もせめぎ合う 悪魔がひとこと「でもやっちゃった!」

あの子たち ちゃんとお礼を言えるからいい子ちゃんだね 飴あげようか

体内に笛を持ってる子供たち ぴいぴい鳴らせ 力の限り

ハルニレの木の下に立ち耳すます しずかな歌とだれかの寝息

この命果てるまできみと恋したい やっと出会えたファムファタール

うわついたこころはあってもなんだってゆるしちゃうようなおんなじゃないわ

下手すると尻が裂けるので頼むから勢いあまって穴変えないで

ほらまたぁ、そーゆーことをゆうからさあ、○○ちゃんが泣いちゃったじゃん。

pm 5:50

ぼくたちの望まぬ愛の結晶はロッカーにイン! (この人殺し!)

その人はもう死んだから大丈夫 会えないほうが幸せなんだ

トラウマをいくつか抱えて生きていく チャイム 教室 たくさんのひと

みんな死ね おまえもおまえもおまえもだ きれいな腕と傷つく心

きみからの言葉に心が冷めやらぬ 甘い果実は薄い毒入り

いま外は嵐なんだときみは言う 窓の向こうに思いをはせる

「愛してる」きみの言葉はゆらゆらと 砂漠の中の蜃気楼だね

好きだったあの子がひとりで死んだから 手向けの花は燃やしちゃおうね

飽きるまで詠み続けるさ この世には言葉が無限に落ちているから

「たすけて」ときみは勝手に言うけれど 一度でもぼくを助けてくれた?

pm 5:48

もしきみが死んだらあとを追いたいの わたしよりあとに死んだらだめよ?

きみのことこの世に残してしまうのは辛いからあとに死なせてくれる?

今すぐはまだ死ねないけど死ぬときはできることなら一緒がいいな

きみの無い世界に何の意味がある そう言えないけど許してくれる?

たちこめる 安いコロンの甘い香が鼻と頭をどろどろにした

ぼくたちは幸せだよね? そうだね? ときみと何度もゆびさし確認

肌の色 目の色どれも薄いから いつかそのまま消えてしまうよ

おしゃべりがうまくできない病気なの 文字ならすぐに生み出せるのに

「ここらへん舐めると気持ちいんだって、舌の裏側すじばったとこ」

「そういうのたぶんムードが大事だよ、性感帯とか関係なくさ」


pm 5:46

不器用な子だねお前は本当に! やめてよ母さんあなたの子だよ

俺たちの35番出口から 夢を買ってた高一の夏

鈍行に乗ってゆっくり帰るから まだこの街を離れたくない

知らぬ間にこの街はとてもグローバル 異国情緒のあふれる土地に

流れゆく景色から眼を離さずに きみは何度もさよならを言う

トンネルを抜けたら空は夜だった 山の向こうは薄桃色に

街明かり それだけ人が生きている たくさんのひと きもちわるいね 

スプーンでくりぬいたような薄い月 この星の空のお味はいかが?

年寄りがふたりバスから降りてった 次会うことはもうないだろう

ストーカーだから毎日きみのこと見てるよ いつかこっちを向いて

pm 5:38

お菓子をテーマに詠みました。純露は「じゅんつゆ」と読みます。おいしい。

どろどろに溶けたブラックサンダーを流し込むから全部飲んでね

あかいろのキャンディーだけを先に食べ続けるような人生だった

外国の色鮮やかなお砂糖のかたまり食べて夢を語った

お砂糖とヒトの間の女の子 お菓子で作った血と肉の味

あざやかなグミとリップクリームを食べて醜く死ぬ女の子

祖母からの甘い金色口に入れその名を問うた「これは?」「純露」

きみの指 ポテトチップス チョコレート ポップコーンでできてるんだね

わたがしのような優しい恋がいい? 最後は硬くて汚い恋が?

きみのそのカステラみたいな頭には 恋と噂が詰まっているの?

この恋とおんなじ味がするんだ、ときみがつまんで ビターチョコレート

pm 9:01

ねえわたし、なにを忘れているんだろ、孤独? 愛情? 嘘? 酒の味?

わたしはね、あなたを愛せたそのことがこの生涯でいちばんの自慢!

ごめんねを混ぜて笑ってみたけれど きみはまっすぐわたしを見てる

路地裏でキスしたふたりはもう二度とこの世で会えることはなかった

意気地なし、泣くんじゃないよ、ほら。……あんた、ちゃんと幸せになれるんだから。

「好きだよ」の四文字すらも言えなくて 不器用に泣くきみが好きだよ

遠くから響く雷鳴 暗い部屋 恋の終わりと 目を閉じたきみ

ガラスでできたその花は ぼくたちの期待を糧に美しく咲く

天国で必ず会おう! そのときはちゃんと告白してみせるから

大丈夫、怖がらなくてもいいからね。アバンチュールを教えてあげる。